葛藤
2012-03-17


葛藤


葛(かずら)や藤(ふじ)のこと。枝がもつれ絡むところから、心の中に相反する動機・欲求・感情などが存在し、そのいずれをとるか迷うこと。

大江健三郎がパリで語ったと報じられた言葉、「人間が行動するうえで最も大切な倫理は次の世代が生きるための条件を壊さないことだ」「経済的、科学的、防衛的な理由は2次的なものでしかない」を読んで、深く考えさせられた。

宮崎駿がインタビューの中で、「この子の命を守るためにこの木を切るか、後世のためにこの子の命を犠牲にしてこの木を残すか」と言っていたことを思い出した。

(「飢えた子と木」の話がでてくるページ)
[URL]

歳を重ね、半世紀を生きてしまった今、次の世代のことを考えずにはいられなくなった。自らの世代の繁栄が次世代の繁栄に繋がることも事実である。今生き抜かなければ、次世代は来ないと考えることは健全な思想であると信じてきた。

そうではない、というのがこの話である。

大江の話は原発のことらしいが、原発に限らず人間の行動規範として読むと、重い。

限られた生産基盤の中での「究極の選択」は、近代における技術革新によって一時期隠蔽されていただけなのかもしれない。

地球という「村」から出ることができない人類は、再び究極の選択を迫られているのかもしれない。
[ノンセクション]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット