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カウンターラング
リブリーザーを成立させる重要な要素の一つが、カウンターラングである。
閉鎖循環式呼吸回路(往復型もある)では、人間の肺胞の伸縮に対向する形で逆に伸縮(縮伸?)する気嚢が必要だ。
でないと、呼吸が出来ない。
試しに、ビンの中の空気を吸おうとしてみれば、容易ではないことが直ちに分かる。
ビニールやゴムなどの変形が容易な素材か、蛇腹式のベローズなど、容積を変化させられる仕組みを用いて実装する。
この袋を、回路の途中に入れておくことで、呼吸ができるし、循環型の場合は、逆止弁を途中に入れることによって、循環の方向を作ることができる。
(PO2 Sensor Signal Validation for ECCRs:絵があります)
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リブリーザーを名乗る潜水器で、この機構を持たないものは有り得ない。
それほど重要な器材でありながら、スクラバーとか酸素センサーとか制御用コンピューターなどの派手な要素の陰に隠れて、話題になることがほとんどない。
リブリーザーの設計では、このカウンターラングをどこに配置するかが、実装上の大きな問題である。
どこでもいい、という訳にはいかないからだ。
たとえば、カウンターラングが足の先にあって、人体が正立していたとしたら、1m以上の水圧差が息を吐く際の呼吸抵抗になる(足の長いヤツほど苦しい。ザマアミロ!)。たぶん、呼吸はできない。吸うことは逆に楽なのだが、吐くことができない。
まあ、足の先に付けるアホはいないが、ものの例えである。
なるべく肺に近い位置に付けることが理想だ。
近いといっても、水深が同じになる位置ということである。ダイバーの姿勢によっても変わる。肺の真横に付いていれば、垂直のトリム変化には影響を受けないが、横向きになると影響が出る。
どこがいいとは一概に言えない。
実装上、分かりやすいのは、ケースの中に入れるか、外に出すかということである。例を挙げれば、インスピやメグは外出しだが、キスやセンチネルはケースの中に入っている(背中にあるのでホリゾンタルトリムでは、吸気時の抵抗がややある)。
他の機種は知らないが、インスピの場合、「ミニマムボリューム」ということを、耳が痛くなるほど言われる(耳抜きが悪いわけじゃあない)。浮力のコントロールを容易にするためには、呼吸回路内のガスの体積を一定にしておくことが大切だからだ。
目安としては、パンパンにするか、ミニマムにするかであるが、肺の圧力損傷を防ぐ観点からはミニマムがよろしい。
深度の変化に対応して、常にミニマムボリュームにすることができれば、ピークパフォーマンス・ボイヤンシー・スペシャリストは目の前である(CCRでは、スペシャリティはありません)。
このミニマムボリュームがやり易い方がいいんじゃないか、と個人的には思っているが、原理的にはケースの内外で変わるわけではない。
実際のところはわからない。
呼吸回路の中のガスを、ディリュエントガスで置き換えるフラッシングというのがあるが、これはどっちがいいのだろうか。
着心地という点では、ケースに入っていたほうがいいだろう(ジャマじゃないし)。
回路内への浸水の場合、カウンターラングから排水する技があるらしい。オーバープレッシャーバルブを下向きにして、カウンターラングをパンパンにすれば排水は可能だが、やったことはないし、肺の圧外傷が心配だ。
ケースに内臓されている場合は、他の仕掛けが必要だろう。
蛇腹構造のカウンターラングの場合は、若干呼吸抵抗が増えそうな気がするが、袋型の場合と比べてメリットがあるのかは分からない。RB80などは、このタイプである。
(RB80 Rebreather)
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