穴好き
2016-04-24


穴好き


パイプ足の椅子を見て興奮したり、ファミレスのテーブルの下に無意識に目が行ってしまう愛すべきヘンタイども・・・。

浮沈子には理解できない、ケイブダイバーとか、レックのペネトレーションダイバーの世界だ。

(洞窟潜水)
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(レック ダイビング)
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まあ、レクリエーショナルなレックスペシャリティレベルではなく、いつ、上から崩れてくるかもしれない錆だらけの真っ暗な船内を、リールを張りながらシルトを巻き上げずにどこまでも入っていくようなペネトレーションになれば、生きて還ってきたらお祝いしなければならないこともあるだろう。

サイドマウントの片側のタンクを外し、身体を捻じ曲げ、岩の隙間を通り抜けたり、鋭利な金属の構造物で、保護スーツをズタズタにしながら潜り抜けたり・・・。

そういうのがスキという神経が、浮沈子には理解不能だ。

「魅力:
水中洞窟は、様々な理由によりダイバーをはじめ、生物学者、古生物学者、洞窟学者を魅了する。
・洞窟の水没部突破。
・洞窟の観察、浮遊感。
・洞窟性植物、洞窟性生物の探索、観察。
・テクニカルダイビングの一環として。」

透き通ったクリスタルウォーターの中の浮遊感というのは、確かに魅力的ではある。

また、レックの内部の様子を見学したりすることの楽しみはあるだろう。

子供の頃、炬燵の中に潜り込んで、真っ赤にのぼせ上がって叱られた記憶があることはあるんだがな・・・。

まあいい。

狭く、暗く、ダイビングとしては危険極まりない環境に行くというのは、そこが魅力的かどうかというよりも、他人が行くことが出来ない場所に行くという冒険心とか、未知の空間に到達したいという探検心というか、単なる優越感を満たしたいという動機なんだろう(たぶん)。

そういうダイビングを成功させるためには、綿密な計画とか、高いスキル、練り上げられた器材コンフィギュレーション、チームの結束、トレーニング、金、手間、暇、運などが必要だしな。

ノンダイバーからみれば、通常のダイビングをしているのだって、十分ヘンタイに見えるに違いないのだから、目くそ鼻くその類の話なんだろうが、それにしても浮沈子の理解を超えた世界だ。

トレーニングとしてはともかく、目的として狭隘な閉鎖空間に突入するというのは趣味じゃない。

減圧ダイビングが、仮想的な閉鎖空間になるというのとはわけが違う。

減圧停止が無事に終われば、仮想の天井は次々に取り払われ、最終減圧停止が終われば、太陽系第三惑星の水面上に、浮沈子にとっては、やや希薄な酸素を含む潤沢な大気の世界に戻ることが出来るわけだ。

物理的閉鎖空間では、そういう自動ドアのような仕掛けはない。

自力でそこから戻ってくるか、あの世逝きの後に、躯だけ引きずり出されるか、永遠に置き去りにされるか・・・。

メタボな浮沈子の最大の恐怖は、身体が支えて身動きが取れなくなり、進むことも退くことも適わなくなることだな。

ああ、こんなことなら、もう少し真剣にフィットネスしておけば良かったと、その時になって思っても、もう遅い。

(山椒魚 (小説))
[URL]

「成長しすぎて自分の棲家である岩屋から出られなくなってしまった山椒魚の悲嘆をユーモラスに描いた作品」

「どうにも動かしやうのない人生の現実にたいして、虚勢を張りながら無力を自認せざるを得ない、自己の精神の戯画」

中村光夫の書評が光るな。

まあ、どうでもいいんですが。


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[CCR]

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