日本のロケット産業の敗北
2017-04-01


スペースXの再使用技術は、直接的には税金を投入して開発されたわけではない。

ISSへの貨物搬送というスキームを開発する一方で、独自に獲得した技術だ。

余剰の燃料を積み、着陸脚やハエ叩き、姿勢制御スラスターなどを積んで、通常の商業打ち上げの中で開発を続けてきた。

グラスホッパーも飛ばしたしな。

税金を使って作っているSLSは、100年経っても再使用化は無理だ。

コストを削減するということは、業界の利益に反するからな。

需要がないところで、コスト削減なんかしたら、自分の首を絞めることになる。

誰がそんなことするもんか。

ファルコンヘビーで2段目の回収に成功すれば、スペースXは衛星打ち上げロケットとして、完全再使用を実現することになる。

それがスタンダードになるかどうかは分からない。

我が国の再使用ロケット技術が、花開くことがあるとすれば、官需ではなく、宇宙の大衆化の中で民需を的確に捉えることが出来た時だろう。

浮沈子的には全然期待してないけどな。

「ロケットを安くするには、使い捨てロケットを大量生産してコストダウンすることが正解」

もとより、大量生産は得意のはずだから、高い品質のロケットを量産することは可能だろう。

ほとんど手作りの状態から、年間1万機くらいを作ることが出来れば、ファルコン9くらいには十分競争力を持つことが出来るはずだ。

売れないけどな。

軍事とも密接に絡む宇宙ロケットを、大衆車のような感覚で作ることは出来ない。

技術的な問題以外のところで、大量生産によるコストダウンは大きな壁にぶち当たることになる。

結局、使い捨てによるコストダウンにも限界がある。

再使用と量産のベストバランスを、需要を勘案して決めていくしかないのだ。

同じエンジンを束ねて飛ばすというファルコン9のブースターは、その点でもよくできている。

次期メタン燃料ロケットも、同じ発想だしな。

今は、それが正解なのかもしれない。

しかし、ゲームは始まったばかりだ。

スペースXは、確かにゲームのルールを変えた。

しかし、その先にあるのが火星移住計画というのが胡散臭いな。

地球周回軌道の宇宙旅行だったら、浮沈子は安心するんだがな。

そして、それはファルコン9では実現不可能だ。

新しい発想のロケットと、その運用が求められる。

100人乗りの宇宙船を、地球周回軌道まで毎日10回送り届ける再使用ロケット・・・。

有人火星飛行とどっちが先になるかな。

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