日本のロケット産業の敗北
(JAXA/ISASの「再使用観測ロケット」開発計画 - 航空機のように飛ばせるロケットを目指して)
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スペースXが、パンドラの箱を開けてしまい、衛星打ち上げ業界は大変なことになってきたが、コストの削減ということから考えれば、頻回の需要を開拓することが出来るかということと裏腹の関係にある。
2年ほど前の記事で、能代の実験ロケットのことについて触れられているが、このロケットで、仮に衛星を打ち上げられたとしても、コストの削減にはつながらない。
それだけの衛星打ち上げ需要がないからな。
宇宙観光とか、超巨大太陽光発電衛星の打ち上げを行うような、頻回の打ち上げ需要がなければ、1割引きのファルコン9が市場を席巻して、以上終わりとなる。
本格的な宇宙時代が訪れなければ、再使用ロケットと言えども浮かぶ瀬はない。
タマゴが先か、ニワトリが先か。
「開発費は70、80億円ぐらいが見込まれており、また打ち上げ1回あたりの運用費は数千万円ほどで、これは1機あたり数億円かかる現在の使い捨て型観測ロケットからすると約10分の1ほどになる。」
話半分としても、チャレンジする価値があると思うが、たぶん出来ないだろう。
理由は2つ。
「プロジェクトにはJAXAを中心に、三菱重工業などが参画している。」
全部三菱にやらせるわけにはいかない。
もう一つは、液体燃料ロケットであるということだ。
固体燃料ロケットを断ち切るわけにはいかない。
イプシロンはあるけど、先行きは不透明だ。
まあ、どこかで割り切るしかないだろうな。
1000回の飛行を繰り返し、短いスパンで行うことが出来なければ、100分の1のコストは難しい。
10人くらいの旅客を乗せて採算を取ろうと思ったら、1万回は飛ばせないと話にならないだろう。
それだって、限られた市場しか相手にはできない。
10万人が宇宙に行った後で、何千万円も払って宙から地球を見たいと思うだろうか?。
100人乗りで10万回飛べれば、旅客機並みの価格になって、宇宙旅行は大衆化するかもしれない。
100万円で地球1周出来るなら、市場は開ける。
1日10回飛んで、年間3000回。
3機を回せれば、1万回は飛べるかもしれない。
年間、100万人が宇宙に出る。
10年で1千万人。
まだ少ないけど、とりあえずはそんなもんか。
そういう時代が来なければ、我が国のロケット産業は敗北を続けることになる。
衛星打ち上げだけを追っているうちは無理ということだな。
年間100機程度の需要なら、ファルコン9や、ファルコンヘビーで賄えてしまう。
1割引きで市場を寡占しておしまいだ。
宇宙は、未来永劫開かれない。
国家が、それを許すかということもある。
年間1万回の打ち上げって、ちょっと想像できない。
でも、かつては旅客機なんてそんな程度だったに違いない。
今は、1日でそのくらいの数になるだろう。
そして、その需要は増え続けている。
あと100年くらい経てば、そういう時代になるのかもしれない。
そんな時代に、今を振り返って何を思うんだろうか?。
液体燃料ブースターの再使用を成し遂げたことが、革命と捉えられるのか。
かつて、ロケットが使い捨てだったことを、その頃の人々が信じられるんだろうか。
それとも、再び使い捨ての時代になって、今と同じようなことを繰り返しているだけなんだろうか。
「国の税金を使っていることなので、どういう道を行くのかはしっかり議論した上で決めるべきことだと思う」
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