細胞と生命
2018-03-01


細胞と生命


浮沈子が学生だった頃、生命の根本は遺伝子で、細胞というのはその遺伝子の発現により生命現象を具現する装置という認識だったような気がする。

その後、細胞の地位が高まり、単に遺伝子のキャリアとしての存在から、生命現象の根本的な座としての存在に上り詰めた(そうなのかあ?)。

遺伝子(DNAとかRNAとか)は、細胞が共生させたウイルスの名残で、細胞の中に取り込まれ、細胞活動(代謝や分裂)の要素としての役割を担う。

細胞内には、ミトコンドリアなどというよそ者が住み着いて、勝手に(!)エネルギー作ったりしてるしな。

(ミトコンドリア)
[URL]

「ミトコンドリアは好気性細菌でリケッチアに近いαプロテオバクテリアが真核細胞に共生することによって獲得されたと考えられている」

おまけに、独自の遺伝子を持ち、母系で遺伝を繰り返す。

「ミトコンドリアのDNAは母親のmtDNAを引き継ぐ(同種交配の場合卵子に入った精子のミトコンドリアが選択的に排除されてしまうから)」

ミトコンドリアの遺伝子は、肥満しやすさに関係しているともいわれる。

(ミトコンドリアDNA)
[URL]

「ミトコンドリアDNAの遺伝子多型は、肥満しやすさの個体差に関係していると考えられている。」

エネルギー生産の大元だからな、その調整が上手くいかなければ、燃えないままデブになるというのはありそうな話だ。

まあ、どうでもいいんですが。

ミトコンドリアの生存(?)には、ミトコンドリア内の遺伝子だけではダメで、細胞核内の遺伝子の働きで作られたタンパク質を要する。

つまり、長年の共生の挙句に、大家である細胞にエネルギーを供給する代わりに、食わせてもらってるようなもんだ。

店子はつらいよ・・・。

まあいい。

先日見つけたネット動画の中で、細胞は生命ではないというのがあって、ちょっとドキッとした。

(What Is Life? Is Death Real?:動画出ます)
[URL]

1分7秒辺りで「しかし細胞は 生きているとは言えない」と出てくる(日本語字幕)。

化学反応の集合で、構造を持ち、環境の変化に適応し、分裂もするが、このビデオでは生命とは認めていない。

遺伝子そのものも、もちろん生命じゃあない。

構成要素の一つに過ぎない。

ひょっとしたら、個々の生物それ自体だって、完全な生物とは言えない。

他の生物がいなければ、単独では存在できないからな。

生態系そのものが生物の真の姿なのかもしれないし、地球環境が生物によって大きく変化してきたことを考えれば、地球という惑星の、少なくとも表面全体が一つの生命といえなくもない。

話が広がり過ぎたか。

ビデオにあった、コンピューターの中の人工生命とか、そういう話には浮沈子は付いていけないな。

遺伝情報という局面だけをとらえて、拡大解釈しているだけのように感じる。

全てが原子からできているから等価だというのも極論だな。

生命には独自の意味がある。

もちろん、その意味を与えているのは人間だがな。

しかし、細胞は生命を持たないただの機械だという見方にはショックを受けたな。

その機械は、遺伝情報によって組み立てられ、調律され、駆動されていても、それ自体はただの機械に過ぎないという。

勘弁してくれ。

単細胞生物の立つ瀬が無くなる・・・。


続きを読む

[ノンセクション]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット