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そもそも軌道に入れなかったのはなぜか:相変わらずの読込不足
スターライナーとクルードラゴンの違いは何か。
カッコが違うとか、海に落ちるのと陸上に落ちるのの違いとか、メーカーが違うとか、値段が違うとか、太陽電池の場所が違うとか、まあ、いろいろある。
しかし、浮沈子は運用思想の違いこそ、この両機の根本的な違いだろうと思っている。
スターライナーがOFT−1で軌道に入れなかったこと自体が、それを象徴している。
そもそも、軌道投入の失敗は、打ち上げロケットであるアトラスVに原因があるのではないかと考えるのがふつーだ。
なんたって、打ち上げロケットだからな。
最終的な軌道に入る微調整とかはペイロード側でするとしても、遷移軌道まで上げるのはロケット側の仕事のはずだ。
だが、そうはなっていなかった。
どこかで読んだ気がして、あやふやなままだったんだが、クルードラゴンのデモ2と比べてハッキリした。
(クルードラゴンデモ-2:タイムライン)
[URL]
「・T + 00:00:00(2020年5月30日19:22:45)〓フロリダ州ケープカナベラルのLaunch Complex 39AからCrew Dragon宇宙船が打ち上げられました。
・T + 00:01:01(19:23:46)〓 Max-Q
・T + 00:02:38(19:25:23)〓 MECO
・T + 00:02:40(19:25:25)〓 Falcon 9のステージ分離。
・T + 00:08:50(19:31:35)〓 SECO
・T + 00:12:08(19:34:53)〓 エンデバーが第2ステージから分離します。
・T + 17:54(2020年5月31日13:56)〓 ISSとドッキングするためにクルードラゴンがウェイポイント1に到達します。
(以下略)」
ファルコン9は、定番通り軌道高度までしっかり上げ、加速し、クルードラゴンをISSを追っかけることができるまで運んでいる。
途中でクルードラゴンがロケットをバンバン焚いて加速を補ったり、ペリジーを上げるためのアポジキックをしたりはしない(まあ、多少はしたかも)。
スペースシャトルはそうではなかった。
(スペースシャトル:発射)
[URL]
「ET分離直後は、軌道の近地点はまだ大気圏を離れてはいないので、そのままではまた大気圏に再突入することになる。そのため軌道船は軌道操縦システム (Orbital Maneuvering System, OMS) を噴射し、近地点をより高い高度に設定してETと衝突するのを防止する。一部の飛行(すなわちISSミッションなど)では、打上げ能力を確保するためにOMSが、メイン・エンジンの燃焼後期に並行して使用された。投入時の軌道をこのように設定しているのは、ETを宇宙空間に放出せず大気圏内で廃棄するためと、もしOMSが点火しなかったり、何らかの理由で搭載室のドアが開かなくなるような事態が発生しても、このような軌道にしておけば自動的に地球に帰還できるから、という安全上の理由もある。」
ET(外部燃料タンク:External Tank)を分離しちまったら、3基のSSME(スペースシャトルメインエンジン)は使えない。
OMSを吹かして増速するしかない。
・近地点をより高い高度に設定してETと衝突するのを防止
・ETを宇宙空間に放出せず大気圏内で廃棄するため
・もしOMSが点火しなかったり、何らかの理由で搭載室のドアが開かなくなるような事態が発生しても、このような軌道にしておけば自動的に地球に帰還できる
初めの理由は、OMSが点火しなかったらヤバいということになるのかも知れない。
スペースシャトルは、ブースター付き単段式ロケットとか言われることもあるようだが、メインエンジンだけでは軌道に達しないような運用なわけだから、少なくとも非分離式二段ロケットになるんだろう(あるいは、燃料タンク分離式2段ロケットとか)。
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