ロケットエンジンとマニキュア
2020-10-29


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もっとも、新品のエンジンだって、マクレガーでテストしてから組付けられ、静的点火試験(スタティックファイアーテスト)を経て、本番の打ち上げに臨むわけで、GPS衛星用エンジンは、少なくとも2度の点火試験をパスしている。

これは、事前の検査が有効とは限らないという意味では本質的に厄介な問題だが、今回は原因が特定されたことで根本的に解決されたわけだ。

何度かの噴射テストの際に、詰まったラッカーが除去されてしまったりしていたら、原因究明は難航したかもしれない。

ラッキー(ラッカー?)だったな・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

CRS7の時といい、アモス6の時といい、洗浄剤の残留で回収に失敗した時といい、今回のマスキング剤の詰まりといい、ほんの些細な現象が、打ち上げの失敗や回収の失敗、打ち上げ延期などの大きなトラブルに繋がっている。

今回は、1か月程度の延期で済んだわけで、冒頭引用したアルスの副題にもあるように、ロケットはタフで同時に繊細な話なわけだ。

隠れた瑕疵は、まだあるに違いない。

100回を超える打ち上げを成功させたスペースX社でも、まだまだ経験が足りないということになる(今世紀になって誕生した新興企業だからな)。

軌道打ち上げロケットが登場して60年余り。

技術は進歩し、経験は失われ、失敗は繰り返される。

地球低軌道の打ち上げでは、GPSを使って測位が行われるようになった。

衛星が衛星の打ち上げをサポートしている。

時代は変わった。

何十人ものスタッフが打ち上げを見守る管制室の様子も、一変するに違いない。

我が国が開発を進めているイプシロンは、ノートパソコン2台(1台はバックアップ)によるモバイル管制を目指していると言われる。

(新型ロケットで実現する世界初のモバイル管制)
[URL]

「2台のパソコンでロケットの管制と自律点検ができるような仕組みが、実際のハードウェアで証明されました。現在はワークステーションになっていますが、いずれは、ノートパソコン1台でできるようにしたいと思っています。」

なんと、目指しているのは1台だとさ。

まあいい。

そういう革新技術が生かされる部分と、塗料で穴が詰まってトラブる部分が共存している。

やがて、世界中で小型ロケットがバンバン打ち上がり、地球低軌道は衛星で埋め尽くされる時代が来るに違いない(スターリンクの数万機どころじゃなくて)。

もちろん、その情報は共有され、有人ロケットの打ち上げも安全に行われるようになる。

デブリの隙間を縫って、ピンポイントで宇宙に出るわけだな。

宇宙を軍事利用しようとしても、下手に飛ばせば民間衛星と衝突するくらいに密になれば、そう簡単に宇宙の軍事化も出来なくなるかもしれない。

1億機位の衛星を、毎年上げるようになれば、地球低軌道も平和になるに違いないかもな・・・。

<以下追加>−−−−−−−−−−

(SpaceXは、11月の乗組員の打ち上げに先立って、エンジンの問題をバルブの詰まりまで追跡します)
[URL]

「調査の結果、下請け業者が複数のエンジンの狭いベントポートを適切に掃除できなかったことが判明しました。」

「データを見ると、2つのエンジンが早期に始動しようとしたが、自動中止によってそれが妨げられたことがわかりました」

「そしてそれを行うことで、エンジンハードウェアに損傷を与える可能性のあるハードスタートを防ぎました。」


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[宇宙]

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