スターライナー:秋の空
(NASAは、ボーイングのスターライナーの乗員カプセルは推進システムのヘリウム漏れがあっても「現状のまま」安全に飛行できると発表)
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「問題のシールが折れ曲がっていたか、小さな欠陥があったためヘリウムが漏れてしまった可能性が高い」
NASAとボーイングは、この問題に対処するために、「あんなことやこんなこと」をしたと言っているんだが、浮沈子的印象では、んなことより大事なことを忘れている気がするんだがな。
「シールが折れ曲がっていたか、小さな欠陥があった」ことに、今後どう対処するのか。
今回はごまかせるかもしれないし、次回以降に同様の欠陥によるトラブルが発生しても、「あんなことやこんなこと」をすれば何とかなるということは分かったんだが、その手順は複雑で、今後自動化するためのシステムの改修も必要だろうし、何かを弄ればそこにトラブルの種をまくことにもなりかねない。
ちなみに、記事では「あんなことやこんなこと」の実例が示されている。
「我々はスラスタのベンダーであるボーイング社、そしてNASAのチームと協力し、軌道燃焼を行う冗長な方法を考案した。軌道燃焼を80分間隔で約10分間ずつの2回の燃焼に分割し、4つのRCSスラスタによる軌道離脱燃焼を実現し、元のシステムの能力を取り戻した」
この対応が必要になるのは、帰還の際だ。
軌道上でのクリティカルなタイミングで、状況を分析し、適用を判断し、正確に行う必要がある。
もちろん、OFT-1の際には、サービスモジュールの追突を避けるために、ろくにチェックもしていない制御プログラムの書き換えをリモートで行う荒業を繰り出したB社のことだから、バックアップ手順の適用なんて朝飯前かも知れないけどな。
しかし、それより何より、フランジのシールの欠陥をどーするのか。
米国の宇宙関連の製造基準やチェックの態勢がどうなっているのかについては知らない。
また、フランジのシールが、どんなトラブルを起こしているのかの詳細は分からない。
それは、当該部品を取り外して分解し、徹底して検査したり、材料の分析から製造工程、組み付け手順やその際の例えば締め付けトルク、その後の輸送などの外乱に対する耐性など、広範な検討を含む。
「配管内に極めて有毒な推進剤の痕跡が残っている可能性があるため、カプセルがアトラス 5 に取り付けられたままでは、シールを交換することも、検査することさえできない。スターライナーは、まずケネディ宇宙センターにあるボーイングの処理格納庫に運ばれ、侵襲的な修理が行われる必要があり、これが長い遅延の原因となる。」
今回、それを行わずに、「あんなことやこんなこと」をすれば対応できることが分かったからといって、何も行わずに飛ばしてしまえば、全ては宇宙の闇に消える(サービスモジュールは、再突入の際に切り離されて大気中で燃え尽きる)。
証拠隠滅だな・・・。
「ボーイング社のスターライナープログラムマネージャー、マーク・ナッピ氏は、5月6日の打ち上げ中止には「良い面もあった」と語った。」
「漏れた場所が正確に分かり、根本原因を解明するための作業はすべて完了した。これは今後のシステム改善に役立つだろう」
詳細に触れていないだけで、フランジシールの問題は「今後のシステム改善」に内包されているのかもしれない。
そうあって欲しいし、そうあるべきだろう。
浮沈子は、まだ、他に隠していることがあるに違いないと妄想している。
B社には、上記のモジュール追突を回避する綱渡り的プログラムの書き換えを隠匿しようとした前科があるからな。
信用ならない・・・。
まあいい。
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