欧州大戦争:百年の計
(5期目に突入したプーチンの殺気、視野に入れたウクライナ後の対欧米戦)
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「・・・方々参謀本部関連では人事に変更はないと伝えている。」
「方々」を、こういう文脈で使うのは、あまり目にしないな。
今のところ、ゲラシモフは安泰のようだ。
「2030年までの経済(政策)目標と2036年までの経済展望」(大統領令)
「射程範囲も当該任期の6年間だけではなく、さらにその先の6年間の展望が加えられている。」
「今回は人的資本への投資と愛国教育とを組み合わせた教育分野も目標」
「2030年までにGDP(購買力平価換算)を世界第4位へと押し上げ(つまり、日本を追い抜く)」
「輸入の対GDP比率を17%へと下げ、非資源輸出を66%増加」
記事は、経済を中心に、最近の話題を織り込みながら、ロシアの行く末を展望している。
「民間に期待して果たせなかった機械・電子製品の生産拡大と技術向上の主導役を軍産複合体に委ねる」
脱資源国、工業化の推進を軍需産業にやらせようというわけだ。
国防大臣に経済閣僚を据えたのだって、そう考えれば納得だな。
まあ、軍隊みたいな特殊な需要に応える技術を一般化できるかというのは、なかなか難しい問題ではある。
そういう絵面を描くしかないというのは、ロシア経済の西側への依存が、それだけ深いということの裏返しなのかもしれない。
今は、それを中国が補っている。
「プーチンの考える長期戦とは、いささか大袈裟に言えば国家百年の大計であり、現下の対ウクライナ紛争を超えたもの」
「紛争は対西側との長期にわたる対立関係の一部でしかなく、その意味では、全体像の中でウクライナをプーチンにとっての最優先事項だとはもはや言えない」
それは間違いのない所だ。
戦争担当の大臣の首は挿げ替えても、参謀組織は存続させている。
長期化というのは、戦争経済を国家の長期戦略に組み込み、怪しげな工業化と脱資源国化の戦略を描くことで、戦闘国家としての持続性を維持しようという文脈なわけだ。
著者は、ウクライナ紛争を停戦させ、軍事的に安定させて欧州大戦争を回避するビジョンを描こうとしているけど、軍産複合体に国家の未来を委ねようとしているロシアに、そんなことを期待できるとは思えないな。
プーチンは、国家運営に大きな自信を得ている。
もちろん、中国との協力関係が前提だけど、それが大きく崩れる気配はない。
国家100年はともかく、10年くらいは安定した関係を見込んだとしても、大きな間違いはないだろう。
突発的な事案が発生して、大どんでん返しが起これば別だ。
「10年、20年先まで見渡そうとすれば、中露の関係がどう変わるかなど誰にも分からない」
西側がウクライナをロシアに売り渡し、経済制裁を解除、技術支援も経済支援も好きなだけ行うようになれば(ありえねー・・・)、中ロ関係をご破算に持ち込むことだって不可能ではない(そうなのかあ?)。
石油にしても、天然ガスにしても、欧州が従来以上にロシアからバンバン輸入すれば、インドだって対応を変えざるを得なくなるかもしれないしな。
そういうタラレバの話はいくらでもできる。
ちょっとびっくりの話も出てくる。
「SVR(ロシア対外情報庁)によれば、西側が実施した非公開の世論調査の結果では、ゼレンスキーへの国民の支持率は17%にまで落ち、軍人の間でも20%程度でしかない。」
ホントかあ?。
「この調査の出所は明かされておらず、フェーク批判の的にもなりそうだが、2月にウクライナの研究所が行った調査ではゼレンスキーへの支持率が22%となっており、あながちいい加減な数値でもないようだ。」
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