月軌道ステーションが必要な訳
(月軌道の宇宙ステーション「ゲートウェイ」について、いま分かっていること)
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「なぜ月の宇宙ステーションが必要なの?」
最も素朴なこの疑問に、正面からの答はない。
「しかし、このどれもが月の宇宙ステーションなくしては実現できないのです。」
「深宇宙へのミッションを展開するための足場を提供」
目的はいろいろ書いてあるけど、真の必要性については書かれていない。
「ゲートウェイはどこに設置される?」
その理由は、設置される軌道と無関係ではない。
「NRHOは地球と月の重力の平衡点に位置する、燃料消費が少なく済む軌道です。重力によって安定していることに加えて、軌道面は常に地球を向いているので、ゲートウェイのクルーと故郷の地上局との通信は常時確保されるそう。」
それだけじゃない。
この軌道は、月の重力から程よく離れていて、維持するだけじゃなく、侵入離脱も容易だ。
エネルギーが少なくて済むわけだな。
このことが、NASAが月軌道ステーションを建造すると決めた理由だ。
有人探査を行う場合、現状、オリオン宇宙船以外に地球を離脱して月軌道まで人間を運べる手段はない(えーと、まだ飛んでませんが)。
浮沈子も、つい先日まで知らなかったんだが、オリオンは月の低軌道まで下りると、地球に帰ってくることが出来ないんだそうだ。
やれやれ・・・。
で、NASAは、当初から、月軌道へ行くのは着陸のためじゃなくて、深宇宙への入口という位置付けをしていたわけだ。
なにかあっても、オリオンが自力で帰ってくることが出来る軌道は、まあ、他にも理由はあるけれど、有人探査の安全性を担保する絶対的な必要性から選ばれたわけだな。
この軌道以外にも、候補となった軌道はあるに違いないが、それについては知らない。
アルテミスで月面着陸するなんてのは、後付けの理由だ。
トランプ政権が出来る前は、そんな計画はなかったからな。
ここんとこは、ハッキリさせておいた方がいい。
月軌道ステーションは、オリオン宇宙船の運用限界をカバーする必要性から生まれた。
じゃあ、アルテミス3が直接月着陸を目指しているのはどーして?。
政治的スケジュールで、トランプ政権二期目の期間中に月面に着陸させたかったからだろう。
政治に引っ掻き回され続けた月軌道ステーション。
バイデン政権になり、本来のスケジュールにどんどん近づいている。
月軌道ステーションを経由した、2028年までの月面着陸。
想定外だったのは、スペースXによるヒューマンランディングシステム(HLS)の開発だな。
民主党が主導権を握っていた米国議会が、予算を付けずに1社だけの選択になったことから決まった。
完全に想定外・・・。
ありえねー・・・。
スターシップが飛ばなければ、月面着陸はない。
中国に先を越されるのは確実だ(そうなのかあ?)。
もちろん、月周回軌道に人間を送り込むことは可能だ。
米国は、中国が2030年代に月面に着陸して有人活動を行うのを、軌道上から眺めることになる。
スターシップがHLSを飛ばせるようになるのがいつかにも依るけどな。
月軌道ステーションがなくても、オリオンからHLSに乗り換えるという裏技を使って、月着陸を果たすことは可能ということになっているけど、このスキームにも危うさが残る。
ランデブー、ドッキング、乗り移り、離脱、月面降下、着陸、離陸、再度のランデブー、ドッキング、乗り移り、離脱。
どれか一つでも失敗すれば、バックアップはない。
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