欧州大戦争:夏の陣:ポクロフシク
(危機的なポクロウシク方面の状況、ロシア軍はドブロピリアへの攻撃も強化)
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「効果的な対処が実施されないかぎり1ヶ月以内にポクロウシクを失う可能性がある」(不明のウクライナメディア)
航空万能論の論調では、せいぜい年内に帰趨が明らかになる程度の感じだったが、必ずしも同調的ではないものの、現地の状況はかなり厳しいようだ。
「ロディンスケが短期間で陥落すれば「ポクロウシクの物理的な包囲」も現実味を帯びてくるだろう。」
右翼方面(東側及び北東側)からのロシア軍の進軍は、これまでの膠着状態をぶち破って急速に進展している。
おまけに右翼方面だけでもないようだ。
「ロシア軍がウダチネの西郊外に到達した」(DEEP STATE)
この方面は、ウクライナ軍がよく食い止めていたけど、大回りして進軍してくるロシア軍までには手が回らない感じだ。
ウクライナは、明らかに兵力不足に陥っている。
「・・・敵の突出部は我々の防衛ラインを引き伸ばし、より多くの防衛陣地を、それに応じてより多くの人員が必要になる」(DEEP STATE)
言及されているのはフィリアイポレ方面の話だが、防御線における敵突出部への対応はどこでも同じはずだ。
「敵は装備面でかなりの優位性を、さらに兵力面でも圧倒的な優位性を持っていると理解している。現地部隊はどんな手段を使っても敵を止めようとしているが、支援がなければマリニフカを明け渡さなければならなくなるだろう。」
ぶっちゃけ、支援はない。
「果たしてロシア軍はザポリージャ州で新たな攻勢に出るのだろうか?その戦力的余力があるのだろうか?」
主戦場であるポクロフシクに対して、援軍を送ることで精一杯で、他の戦場には手が回らない。
1000kmに渡る前線全体で攻勢を掛ければ、ウクライナ軍にそれを支えきる力はない。
2023年の反転攻勢の際、ザルジニーが採った戦略のロシア版だ。
スロビキンライン(地雷原)と、アタック&アウェイの迎撃に阻まれ、ウクライナ軍の進軍は4日で止まった。
ロシアが、手に入れた土地を守りきるためにどれ程の犠牲を払っているかは知らない。
が、血で贖った土地を手放すことはない。
ウクライナは、確かに国家として独立はしたけど、その国土はソ連崩壊に伴って棚ボタのように手に入った国土だ。
2000万人の犠牲を払って守り切ったロシアとは違う。
ロシアの侵攻はウクライナにとっては受け入れ難いだろうし、第二次世界大戦後に築き上げてきた国際社会の合意を踏み躙るものだ。
撤退戦では、浮沈子的には良く守っていると思うけど、物量にものを言わせて攻めてくるロシア軍を完全に食い止めるまでには至っていない。
クルスクとか、余計なところに兵力を割いては他の前線での蚕食を許している。
やれやれ・・・。
ポクロフシクは、戦略上の要衝というよりは、鉄道の結節点であることから、前線への補給の要として兵站上の役割を担っていた。
現在は、その役割は失っていて、ドネツク州西部の防衛拠点の一つになっている。
ここを失うことは、戦略上の損失というより政治的要素の方が大きいだろう。
ロシア軍の夏季攻勢に伴う状況の急速な悪化で、「年内」という見通しが「秋まで」程度に短縮されちまったことは否めない。
アウディーイウカの喪失から1年半、50km離れていたポクロフシクが同じ運命に晒されている。
昨年中にも落ちると思われていたが、半年以上も持ちこたえていることは意外だ。
クルスクの侵攻と併せて考えると、ウクライナ軍の兵力がひっ迫しているようには見えない。
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