2012-08-30
いや、最新のアクティブコントロールといえども、良い駆動系や、操作系に組み込まれなければ、その機能を発揮することは出来ない。本物の安物を作るためには、本物に近い安物でなければならない。
物理の法則を誤魔化すことが出来るのは、最後の仕上げの部分、職人技のセッティングのところだけだ(これこそが、クルマに命を吹き込む)。
試乗車を降りて、ボクスターに乗り換える。ガソリン代、こっち持ちなので、ゆっくりと走る。2003年モデルだが、これは20世紀のクルマだ。PSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)が介入してくるのは、最後の最後だけ。ポルシェは分かっているんだ。
自動車のどこに価値があって、ユーザーが何に金を払うかということを。
試乗車の余韻とボクスターの振動を重ねる時、自分が20世紀の自動車しか乗れない人間になっていることを思い知る。スイッチのようなアクセルや、カックンブレーキ、手の平でクルクル回るハンドルや、スイッチ一つで豹変するエンジンには、何の魅力も感じない(楽でいいけど)。
自分の足の裏に直結したエンジン、力を込めて切るハンドル、渾身の踏力で踏み込むブレーキ、手に汗握るコーナリング、ガソリンの残量が減っていくのが分かるほどの(超)高速クルージング。
みんな、消えてしまった。
そして、出来のよい小粒の車たちの天下になった。
さて、次は何を試乗しようか?。
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