試乗
2012-08-30


試乗


自動車の試乗(概ね新車)は、ちょっと勇気がいる。

もちろん、購入を前提にしているときは、何の遠慮も要らない。丸一日試乗してもいいくらいだ(ガソリン代、向こう持ちで?)。

一切買う気はなく、ただ、乗りたいだけ(ガソリン代、向こう持ちで!)。ほとんど、ガキの遊びである。その代わり、正直な感想を提供する。買わないのだから、思いっきり素直になれる。

ゴルフとか、巷でチヤホヤされている車だと、一層きつくなる(営業さんは、全然堪えていないようだ)。乗り出しで300万円の車なら、実用性だけではなくて、乗ることの喜びも求めたい、とか言ったんだけど・・・。

いいものは、やはりいい。この前試乗したポルシェのボクスター(981)は、手前味噌ではないが、ホントに良かった。買わない(買えない)けど。

マークXだって悪くはない。静かだし、乗りやすいし、目をつぶって乗れば、ベンツのEクラスだといっても分からないだろう。

自分の目で見て、自分の足で踏んで、自分の尻で感じる車の味。試乗記や、ビデオを見ただけでは決して分からない本物の感じ。

外車だからといって、ステータスシンボルなんていう感覚は、今や日本にはないだろう。実際、買いやすくなってきた。へたな国産車を買うくらいなら、外車を買って長く付き合うほうが経済的かもしれない(良い日本車に長く乗るのが最も経済的!)。

それよりも、いろいろ試乗してみて思うのは、国産、輸入を問わず、だんだんと自動車がせこくなってきているということだ。車重が軽くなり、燃費が良くなり、操作系が軽快になる。

一昔前は、自動車を運転するのは男に決まっていた(私自身は、決して男中心の考え方はしていない。男の子中心ではあるけれど)。フェラーリが、どこぞの女流作家に車を売らなかった話もあるくらいだ。

(貴女の細腕で操縦出来るフェラーリは無い。)
[URL]

しかし、今やそんなことは言っていられない。天の半分は女が支えているのである(もう少し、少ないかも)。

(世界男女比107:100、女性にはなお格差=国連報告)
[URL]

お父さんが満員電車に詰め込まれて働きに行く頃、お母さんは、ガキドモ(失礼!、お子様たち)と、ファミレスで涼んでいるのである。そして、足になるのは自転車か、コンパクトカーである。

べつに、ベンツでもいいんですけど。

初めて乗ったダルマのセリカ(1600ST)には、パワーアシストなんか無かった。マニュアルシフトで、ガンガン走った。男の車だったように思う。

(トヨタ・セリカ)
[URL]

全ての操作系が重く、左足と右肩が痛くなった。クラッチとハンドルのせいである。車重を見て驚く。こんなに軽かったっけ?。

そのセリカの名も、2006年で消えた。

20世紀の奇跡であった、自動車の歴史は、ここに来て大きく変わろうとしている。電子制御、電気自動車、カーボンファイバー、そして自動運転の時代がそこまで来ている。

男のクルマなんて、どこにもない。

ずっしりとしたステアリングフィール、速く走らせようとすれば、一筋縄ではいかないクセのあるエンジンや足回り、峠に何度も通って習得するドラテク、環境と財布に厳しい燃費、ひとしきり走った後は、ウ○コ座りしてしまうほどくたびれる運転。

夜中じゅう走って、眠い目で見る夜明けの光芒。

そうか、20世紀に夢見た21世紀は、とっくの昔に消えてしまって、足元に転がっているのは、矮小化されたチンケな未来、物理の法則を電磁石で誤魔化すまがい物の跋扈する、安物の世界だ。


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[自動車]

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