いつか来た道なのか
2018-10-17


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いつか来た道なのか


コンゴ民主共和国(DRC)北東部でのエボラが、怪しい状況にあると報じられている。

(エボラ出血熱、死者125人=コンゴ東部)
[URL]

「感染の中心は、ウガンダ国境に近い北キブ州北部の町ベニだが、防護服を着た保健関係者が襲われる事件が続いており「感染の規模を把握できていない。非常に危険だ。状況を憂慮している」と語った。」

「恐怖心や誤解から住民が保健当局の活動を拒む上、武装勢力が散発的に戦闘を仕掛け、継続的な医療活動もままならない。」

この後、CNNが報じたのがこれ。

(コンゴのエボラ出血熱、感染拡大の恐れ 米対策チームが退避)
[URL]

「対応支援に当たっていた米疾病対策センター(CDC)の専門家チームが、安全上の懸念を理由に、最悪の被害が出ている地域から退避した。」

「隣国のウガンダだけでなく、ルワンダ、南スーダン、ブルンジへの拡大も懸念される一方、アフリカ大陸の外へ感染が拡大する可能性は低いとしている。」

うーん、びみょーな情勢だな。

DRC保健当局は、幸い正しい認識を持っていて、状況が危機的要素をはらんでいることが分かっているからな。

医療的にも、2014年のアフリカ西部での大流行の時のように、後手後手にまわって、パニックになるというようなことはない。

(コンゴ(DRC)のエボラ、ヤバいかも)
[URL]

切り込み隊(!)である国境なき医師団(MSF)や、今回報道されたようにCDCのスタッフも現地入りしている。

地域限定のアウトブレイクから、急速に拡大する懸念は、今のところはまだない。

紛争地域だと言っても、散発的に戦闘が起こっている程度で、大量の難民が雪崩を打って避難しているわけじゃなさそうだ(未確認)。

流行拡大が納まらない最大の原因は、AFP時事が報じているように、地元の理解の不足に尽きる。

しかし、それを解決するには、丁寧な啓発活動と感染者の追跡調査、感染予防のための保健対策の普及が唯一の方法なのに、戦闘地域であるために効率的に行えない。

感染のスピードと、それを防ぐための措置のスピードが競っているわけだが、防疫についてはハンデを負わされている。

びみょーな情勢下では、強権的対応のために軍隊を派遣するなどという荒業は繰り出せないだろうしな。

最悪の状況で、地域ごと封鎖するなどということはできないわけだ。

そういう事態にならないようにするために、丁寧で手間の掛かる啓発活動や予防措置を、人的資源を投じて積極的に行う必要があるんだろうが、それが出来ないでいる。

保健相が嘆くのは、そこだ。

「感染の規模を把握できていない。非常に危険だ。状況を憂慮している」

WHOの関連ページはここ。

(Ebola situation reports: Democratic Republic of the Congo)
[URL]

今朝の段階では、14日付のレポートが上がっていて、214人の感染者と139人の死者が報告されている。

もちろん、実態が把握されているとは言えない中で、一部の感染者と死者であることに注意だけどな。

しかし、最初の感染が報告されてから3か月以上経っているわけで、既に初期の段階は過ぎている。

Situation reportsやDisease Outbreak News (DONs)を見ると、確定診断の割合が多い。

検査体制が整っているからなのか、状況の把握が絶望的に遅れているだけなのかは分からない。

真に憂慮すべき事態が背後で進展している懸念はぬぐえない。


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[ノンセクション]

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